セレフィカさん「美容室」に行く


わが夫、セレフィカさんは、散髪に行くのが嫌いです。
理由は、「髪を切られている間、非常に暇をもてあまし、気分が落ち着かないから」・・・だそうです。
ですから彼は、絶対に自分から進んで散髪に行くことがありません。
まるでむく犬(もっとも近いのはオールド・イングリッシュ・シープドッグか?)のように前髪が垂れ下がり、私から何度も何度も「みっともない」と言われて、やっとこさ、いやいや、近所の床屋へと向かいます。


そんな彼が、今日はちょっと事情があって、生まれて初めて「美容室」で「ヘアー・カット」をしてもらいました。


その甲斐あって、ちょっと驚くばかりに「今風」な感じになりました!
え?これがあのセレフィカさんっ?!・・・という変身ぶりです。
ファッションは相変わらずいつものままだというのに、頭の造作が違うだけで何段階も垢抜けて見えるから、びっくりしてしまいます。
しみじみ、ヘアー・スタイルが、人間の外見を作る上でバカに出来ない役割を持っていることに気づかされました。


ところが、せっかくステキになれたというのに、セレフィカさんときたら、「ぼくは、もう二度と美容室には行かない」…と言います。
「なんで?」と尋ねると、「美容室の人は、あまりにも親切だから、気疲れする」…そうで。
「ぼくはやっぱり、愛想の悪い、滅多に口を利かない、いつもの床屋の方がいい」…んだそうで。


今日、彼が行った美容室の美容師さんたちは、それは親切だったそうです。
いろいろ親しく始終話しかけてくれて、雑誌もあれやこれや渡してくれて、首や肩のマッサージもしてくれて、「ぼくは、あんないたれりつくせりで髪を切ってもらったことはないから、びっくりした」そうです。
でも、それが結局「気疲れ」の素になってしまったようで、「美容師さんの親切は充分わかるんだけども、でも、もう二度と行きたくない」と言うんですからね〜


そういえば、私の実家の父も、あまり「散髪」が好きではありません。
「好きではない」からなんでしょう、必ず決まった床屋の、決まった理容師さんに散髪してもらうことにこだわります。
父の髪を切っている理容師さんは、実に無口な人で、仕事中ほとんど会話しないそうです。
何も言わずに座れば、何も言わずに切ってくれる・・・その関係が、長く続いています。


どうも男性には、こういう人が多いんでしょうか?
私などは、美容室に行けば、美容師さんと適当に世間話をするのも、けっこう楽しみのうちだったりしますが、セレフィカさんにしろ、父にしろ、それが「苦痛」なんだそうで・・・


ちなみに、私がずっと行きつけにしている美容室の美容師さんたちは、それは素晴らしいんです。
私から会話をすれば、ニコニコ気持ちよく応じてくれますし、楽しい話題も提供してくれますが、ちょっと疲れていたり、眠たかったり、読書に熱中したい時などは、絶対にうるさく向こうから話しかけることがありません。
そっとしておいてくれます。
その気遣いの自然さ、思いやりには、美容師としての腕の確かさもさることながら、さすがはサービス業のプロだなぁ〜と思うんですよね。


シルバーバーチは、「宗教とはサービスです」と、霊訓の中で言っていますが、サービスって、それが「宗教」でなくとも、本当に奥の深いものですね。


    (文責:ゆう)