徳川慶喜の孫娘たち
今日は以前に一度読んだ2冊の本を読み返しました。
一冊目は、榊原喜佐子著『徳川慶喜家の子ども部屋 (角川文庫)』。
二冊目は、昨年亡くなられた高松宮妃殿下著『菊と葵のものがたり (中公文庫)』。
榊原喜佐子さんと亡くなられた妃殿下はご姉妹で、“最後の将軍”徳川慶喜の孫娘です。
戦前の皇族や華族の生活が、まったく飾らない筆致で描かれており、どちらの本も読んで素直に楽しく、とても興味深い内容です。
特に榊原喜佐子さんの『徳川慶喜家の子ども部屋 (角川文庫)』は、前半の平和な子供時代の生活を描いた部分もさることながら、結婚されてお子さんにも恵まれたものの、太平洋戦争末期の東京大空襲の最中に末のお嬢さんを急病で亡くされたことや、御主人の「殿様」が憲兵に拘束された前後の夫婦の会話、そして戦後社会になかなか適応できず鬱病に苦しまれたこと…などのエピソードが、一女性としての偽らざる視点から書かれており、私はしばしば心を打たれ、目頭が熱くなりました。
また、戦前の皇族や華族の子供たちは、決して好き勝手な贅沢三昧を許されていたわけではなく、幼い時から常に「義務」を意識するように躾けられていること、子供ながらにそうした不自由を当然のものと考えていたことも、よく分かります。
しかし、今のこの世の中に、そうした意識はなかなか持ち難いものでしょう。
現在の皇室の孤独なあり方をしみじみ思い、素朴に「気の毒に」と感じるのは、私だけでしょうか。
(文責:ゆう)
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