音楽の麻薬


1756年の1月27日に生まれたモーツァルトの生誕250年を祝う様々な催しが、一昨日からウィーンやザルツブルクでスタートしたそうです。
おそらく今年一年は、モーツァルトが生まれ活躍したオーストリアでは勿論ですが、この日本でも、彼の生誕250年を記念したコンサートがいっぱい開かれるのではないでしょうか。
モーツァルトめっちゃ大好きっな私としては、本当に楽しみがつきない感じです。


で、今日、私は銀座のYAMAHAにぶらっと行ってみたのですが、やっぱりありましたね〜
モーツァルトのCDやDVDがズラーッと並べられたコーナーが!
そこには、交響曲やら室内楽やら、ピアノ等の独奏楽器、オペラは勿論、コンサート・アリアに至るまで、彼のあらゆるジャンルの全集CDが出ていて、「おぉぉ〜〜」という感じでした。
「欲しいなぁ〜欲しいよぉ〜」と激しく思いつつ、一つ一つを手にとって舐めるように眺めていたら、なんと2時間近くが経過・・・。


でも結局、モーツァルトのものは一枚も買わず(なんでやねんっ!)、急になにを血迷ったのか(?)、ヴァーグナーの『ニーベルングの指環』と『トリスタンとイゾルデ』の全曲盤を購入して帰宅したので、今、このブログを書いている私の背後では、もぉガンガン大音響でオーケストラが鳴り、凄い声の歌手達が吠えてます^^;
どちらの作品も長丁場なので、これから数日間は、延々とこれを聴き続けることになりそう・・・。


あーーーっ、しかし・・・ついに手を出してしまいましたよ・・・。
『トリスタン…』はまだしも、『指環』には、指も触れずにいようと思ってたんですけど、(理由は単純。途方もなく長いからです。上演に4日もかかるんですよーっ! こんな作品に万が一嵌まり込んだりしたら、大変なことになるじゃないですかっ!)・・・馬鹿だなぁ〜、ついに買っちゃいましたよぉぉ・・・
あぁ〜馬鹿だ馬鹿だ、買っちゃったし、もう聴き始めてるし・・・


だいたい私は、ヴァーグナーみたいな性格の人間は、大嫌いなんです。
嫌なヤツですよ、ヴァーグナーって。
最低の男ですよ、この人。
あらゆる作曲家の中でも、「反社会度No.1」「傲慢度No.1」「金銭浪費度No.1」・・・で、ほかいろいろ悪徳の固まりみたいな人ですから^^;


ところが、なんでしょうね・・・この音楽の魅力は。
よくヴァーグナーの音楽を評して「麻薬的」と表現する人がいますが、確かにそうですね。
力強く、かつ甘美で、聴いていると、その世界に吸い込まれるというか、たましいがとろかされるような陶酔に導かれてしまいます。
特に『トリスタン…』の最後の場面、イゾルデが死にゆくところなんか、聴いている私自身も上へ上へ昇っていきそうな高揚感と、ぞくぞくするような美しさに満ちていて、「あー、だめだ、だめだめ、この調子じゃいつの間にかヴァーグナーが大好きになっちゃうよー」と、まったく危険極まりませんっ。




こんなふうにして、19世紀ヨーロッパに生きていた音楽愛好家達は、あれよあれよと「ヴァグネリアン」になっちゃったのかもしれませんね・・・。
21世紀の私も、ちょっとアブナイところに差し掛かってるくらいですからねー。


スピお得意の「理性で検証」が有効だといいんですが・・・


なーんとなく、数日後、私は「遅れてきたヴァグネリアン」になってそうで、怖いです・・・。




ワーグナー : 楽劇「トリスタンとイゾルデ」全曲

ワーグナー : 楽劇「トリスタンとイゾルデ」全曲